子どもが病気で幼稚園、保育園、学校に登校園できない時に、保護者に代わってお子さんをお預かりする保育施設があります。開成町町民ライターの髙橋美紀さんが取材してきました。
2018年10月に開所した病児保育室「ピーターパン」
2018年10月に開所した病児保育室「ピーターパン」へ見学に行ってきました。
サウスポートの2階に上がり、通路を曲がった先に病児保育室の入り口があります。廊下から入口まで装飾され、第一印象はかわいい!の一言でした。
靴を脱いで中に入るとすぐ右側には2つの部屋が並んでいます。中の様子がしっかりと見ることのできる大きめの窓にも、季節にあった折り紙による制作物が飾られています。全体的に可愛くて明るい印象なので、これなら初めてきた子どもたちも安心だろうなと思いました。
そもそも病児保育とは、体調を崩して保育園や小学校に行けない子どもを預かってくれる、働く親にとって救世主のような存在です。
特に昨今は少々の鼻水や咳でも登園、登校を控えるよういわれてしまいます。ここピーターパンではそうした体調不良や怪我をした子どもを、日中仕事を休めない親に代わって保育士さんや看護師さんがお世話をしてくださいます。必要に応じて隔離措置を行える体制が整っているため、インフルエンザやおたふくかぜなどの子どもも利用することができます(はしか、結膜炎はのぞく)。
働いているスタッフの皆様は保育士の資格が必須
こちらで働いているスタッフの皆様は保育士の資格が必須で、実際に保育園や託児所にお勤めだった先生方が子どもたちを見てくださいます。
今回お話を伺った宮本先生も保育の道15年のベテラン先生。月曜から金曜まで基本的に毎日出勤されているそうです。
宮本先生と一緒にまずは保育室を見学させてもらいました。
2つある保育室は、2歳未満の子と2~9歳までの子でわかれています。まず見せてもらったのは2歳以上の子の部屋。部屋の壁にはレゴで作った作品の写真が貼られていましたが、これは実際に利用したお子様が作った作品だそうで他の子の参考になればとのお考えで飾っているそうです。他にも子どもたちの折り紙作品が飾られていたりと、とても楽しい雰囲気が伝わってきます。
そして部屋においてある絵本やおもちゃ、DVDなどは宮本先生のお孫さんが遊んでいたものを置いているのだそう。さらに部屋についているお手洗いのハンドソープも宮本先生の私物で、泡がキャラクターの形に出てくるものなんです。子どもたちは絶対に大喜びで手を洗ってくれそうです。
もう一つのお部屋は・・・
隣の2歳未満の部屋はうって変わってカラフルな壁紙が明るい印象を与えます。この日は2歳の女の子が一人利用しており保育士の先生と楽しそうに遊んでいました。部屋には新聞で折られたごみ袋や、万が一子どもが嘔吐してしまったときに対応できるよう嘔吐物処理セットがあり、その中にはビニール製の手作り防護服が常備されていました。いたるところに工夫と楽しさが詰まっていて、託児室というよりまるで宮本先生のお部屋のような暖かさがありました。
実際に利用する際にはどのような流れになるのでしょうか?
では、実際に利用する際はどのような流れになるのかお話を伺いました。
「まず役場に事前登録をする必要があります。そして利用の際は必ず電話で仮予約をお願いします。」
そして病児保育を利用する際は、『病児保育事業診療情報提供書』をかかりつけ医に発行してもらい提出する必要があります。
「この『情報提供書』はとても大切で、これを元に同じ建物内の病院の先生が保育する上で気を付ける点など指示を出されます。特にコロナ禍のいま、発熱の様子などをみて隔離が必要か否かの判断も出してくださいます。その後も定期的に看護師さんが様子を見に来て必要なアドバイスをくださいます。」
このシステムは本当に心強いものだと思いました。例えば子どもが急変してしまったときも、すぐに看護師さんへ助けを求めることができます。病気の子どもを預ける親としてこれほど安心なことはないと思いました。
子どもたちは一日どのように過ごすのでしょう?
いざ保育がスタートすると、子どもたちは一日どのように過ごすのでしょう。
「入室以降は、おやつや水分補給の時間、昼食、自由時間、安静時間がもうけられています。基本的には部屋の中で遊んで過ごすのですが、体調不良とはいえ微熱程度の子は意外と元気が有り余っていることありますよね。そんなときは様子を見ながら建物内を散策したり、部屋を出てそばにあるテラスへお散歩をしたりします。」
一か所にとどまらず過ごせるのは子どもにとっても嬉しいことです。
「また、『今日はシアタールームだよ!』と宣言し、保育室内のテレビの前に椅子を並べてみんなでDVD鑑賞をすることもありますよ。」
さすが保育士の先生です。病気でも無理をしない範囲で子どもたちが楽しく過ごす工夫をされています。
ちなみに日中の様子は保育室に設置されたネットワークカメラによりスマートフォンやパソコンでいつでも見ることができます。そしてお迎えの際には一日どのように過ごしたか、食事とときや睡眠時の様子を細かに記入した連絡票をくださいます。
私は病児保育というのは、ただ病気の子どもを預かってくれるだけの託児施設に過ぎないと思っていました。しかし実際に訪れ、お話を伺うと、ただ預かるだけでなく、いかに子どもたちが快適で安全に過ごせるかを大事にされている、その思いと熱意が伝わってくるもう一つのお家のような場所でした。
ここ、ピーターパンは一度だけでなく繰り返し利用される方も多いそうですが、それも納得の安心感がここにはありました。
最後に宮本先生から、利用を考える方へメッセージをいただきました
「利用する子どもたちは自分の孫のような気持ちで接しています。病気や怪我の我が子のそばにいてあげたいけどいられない、そんないざというときには、ぜひ私たちを頼ってほしいです。」
取材を終えて・・・
困ったときは助けてくれる。そんなありがたい存在の病児保育室「ピーターパン」。いざというときは突然訪れるものです。皆様もぜひ事前に利用登録をされることをおすすめいたします。
町民ライター 髙橋 美紀